めまいとは

めまいは、比較的多くの方が経験する症状ですが、いろいろなタイプがあります。短時間で治るめまいから、長期にわたり治療を要するめまいもあります。また聴力障害や耳鳴りを伴うめまいもあります。
めまい性状は、ぐるぐると目が回っている感じのめまいや、体がフワフワとしていて浮いている感じのめまい、立ち上がるとクラクラして、目の前が暗くなったり、気を失ったりするめまいなどがあります。

それぞれは症状が異なり主な原因も異なります。その原因は大きく3つに分類する事ができます。
1つ目は耳が原因のめまい、
2つ目は脳が原因のめまい、
3つ目が循環障害を含めた内科疾患や、精神的要因からくるめまいです。

その中で、最も多いのが1の耳鼻咽喉科的な疾患であるめまいとなります。
当院では、十分な問診をした上で、CCDカメラで目の揺れを検査し、さらに聴力検査、神経学的診察を行う事で診断を行います。危険なめまいである脳のめまいが疑われた場合は、迅速に脳神経外科などの頭部診察が可能な医療施設への紹介を行います。

めまいの原因

耳が原因のめまい（末梢性めまい）

めまいを起こすと脳の病気かもしれないと思うことが多いですが、実はほとんどが耳の病気の事が多いです。重症になるとめまいだけでなく耳鳴り、難聴、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
また、頭を動かすと強いめまいが生じやすいです。
実は脳の病気で起こるめまいより、耳の病気で起こるめまいの方が症状が強く、多くはグルグルと天井が回ってとても立っていられないような強いめまいが生じます。めまいが強いと、遅れて吐き気が出現します。

主な疾患
良性発作性頭位変換性めまい症、メニエール病、突発性難聴、前庭神経炎など

脳の病気が原因のめまい（中枢性めまい）

脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などが発症するとめまいが出現します。強いめまいではなく、体がフワフワ浮いている感じがする、真っ直ぐに歩けない、姿勢が保てないといった軽い症状の浮動性めまいが出現します。
さらに、脳の病気が重症化すると、呂律が回らない、顔の一部がまひしている、物が二重に見える、片方の手や足が動かない、意識が悪くなる等の症状が同時に出現する事が多いです。当院を受診された患者様で、検査で脳の病気が疑われた場合は、すぐに脳の専門連携病院へ紹介します。

循環障害を含めた内科疾患や、精神的要因からくるめまい

血圧の変動で起こる循環器障害や、ストレスなどの精神的要因によって起こるめまいもあります。このような病態を疑った場合は、内科や精神科で治療が必要となる場合があるので、専門病院を紹介します。

耳が原因のめまいの疾患

良性発作性頭位変換性めまい症

耳の奥にある「耳石」が何らかの理由ではがれ落ち、それが頭を動かすことで耳石が転がり内耳を刺激しめまいが起きます。めまいで受診された方の多くがこの病気で、難聴や耳鳴りなどの症状は出現しません。難聴や耳鳴りを伴う場合は突発性難聴やメニエール病などの、他の耳の病気の可能性があります。「耳石」がこぼれる明確な原因は不明ですが、更年期以後の女性に多いことから、加齢や女性ホルモンの低下により耳石がはがれやすくなると考えられていますが男性でも起こります。また、外傷や長期の寝たきりも発症の原因となります。再発することが多いので、リハビリや運動療法が重要となり、疲労や寝不足、ストレスを除去する事も必要となります。薬物療法は対症療法になります。

メニエール病

耳の奥の内耳にリンパ液がたまることによって生じる病気です。リンパ液がたまる理由はストレスや疲れと言われています。メニエール病が発症すると、めまいだけでなく難聴がひき起こされることが多いですが、難聴とめまいはそれぞれが単独で出現する場合もあります。メニエール病も一度症状が治まっても再発を繰り返しやすい病気です。治療はストレスとどう付き合うか考え、生活リズムをととのえながら、イソバイドという苦い水薬（ゼリータイプもあります）を中心とした薬物療法となります。

突発性難聴

耳の奥の原因不明の炎症によって生じます。耳の奥は聴力と密接な関わりがあるので、急に耳のきこえが悪くなりますが、めまいを引き起こすことがあります。原因はまだ明らかになっていませんが、循環障害やウイルス感染、免疫異常など、様々な機序が考えられています。発症2週間以内にステロイド治療やビタミン剤・循環改善薬が必要となる為、突然難聴が出現した場合は可能な範囲で早期に当院へ受診してください。

前庭神経炎

突然発症する激しい回転性めまいが出現しますが、難聴や耳鳴り等は伴わない病気です。先行してかぜなどの感染が見られる場合があり、ウイルス感染説が有力とされますが、はっきりした原因は不明です。症状が強い場合は入院での点滴治療を行う事もありますが、基本的には安静、投薬治療を行い、症状が落ち着き次第、リハビリを開始します。

内耳炎

中耳炎がひどくなると、まれにその炎症が中耳より奥の耳に広がり、内耳に炎症が起こり内耳炎を引き起こします。内耳炎が発症すると、強いめまい、耳の痛み、難聴が生じます。放置すると、めまいは改善することはありますが、難聴がいつまでも残る可能性があります。治療には抗生剤やステロイド薬を投与します。炎症が強い場合、膿を出す処置を行いますので一度当院へご来院ください。